
かつて、イングマール・ベルイマンは「女たちの世界はわたしの世界だ」と語ったことがある。その言葉を立証するかのごとく、映画批評家時代のフランソワ・トリュフォーは「ベルイマンの映画は、まさしく、女性に捧げられた映画だ。ベルイマンの映画の女たちは、男の視点から一方的に見られた存在ではなく、ベルイマンと女たちの完璧な共謀となれあいのなかでとらえられたイメージなのである。男の人物たちが型にはまったキャラクターばかりなのに対して、女たちが無限のニュアンスに彩られていきいきとしているのも、そのためだ」と見事に分析している。
実際に、新人女優を育てる名人であったベルイマンは、ハリエット・アンデルソン(『不良少女モニカ』)、ビビ・アンデルソン(『第七の封印』)、イングリット・チューリン(『野いちご』)、リヴ・ウルマン(『仮面/ペルソナ』)などを発掘し、その魅力を開花させ、世界的な大女優へと育て上げていった。そのうちの何人かとは愛人関係となり、結婚し、離婚した後も親密なパートナーシップは永く続くことになる。『仮面/ペルソナ』で、突然、声を失った舞台女優の役でベルイマン作品に衝撃的にデビューしたリヴ・ウルマンは、知性と匂うような官能的な魅惑を両方併せ持った稀有なヒロインであり、それ以後、公私共にベルイマン映画の最も重要なミューズとなったのは周知の通りである。

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