
『ある結婚の風景』は、弁護士のマリアン(リヴ・ウルマン)と教授のヨハン(エルランド・ヨセフソン)の、一見平穏で円満そのものにみえた夫婦関係に亀裂が生じ、崩壊するさまをリアルに描いた作品である。もともとは全6話からなる5時間を越えるテレビ・シリーズとして製作された。デンマークで放映された際には、主人公たちの運命を知ろうとして急いで帰宅する人たちの車の列が交通パニックを引き起こし、さらにストーリーに刺激されて離婚が急増するなど、社会現象にまでなったいわくつきのセンセーショナルな作品である。
テレビ版を再編集した168分の劇場版も、ゴールデン・グローブ賞外国映画賞、全米批評家協会賞作品賞、NY批評家協会賞女優賞(リヴ・ウルマン)などを受賞し、日本では’81年に公開された。そこには、主演女優たちとの華麗な遍歴から生まれたベルイマン自身の結婚生活が色濃く反映されている。この劇場版も、今や結婚生活の内実をリアルに浮き彫りにした古典として揺るぎない位置を占めており、最近では、フランス映画の鬼才フランソワ・オゾンが『ふたりの5つの別れ路』を撮る際に、この作品から深くインスパイアされたことを率直に表明しているほどだ。

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