
観客:『仮面/ペルソナ』の話が出たところでお聞きしたいのですが、ベルイマン監督は『仮面/ペルソナ』のキャラクターは例えば「ゴドーを待ちながら」のような人間の存在的矛盾の象徴なのだ、というような話をあなたにされたのですか?
リサ:よく議論されるポイントですね。お答えいただけますか?
リヴ:いいえ。そのような話しはありませんでした。ベルイマン監督は、そのような哲学的な演出的方法論の話は一切しないのです。彼にとって役者というのは、彼の脚本を読んでいて、人間を理解している人、ということです。彼はビビ・アンデルセンに「君がアルマのような女性について知っているすべてのことを使ってアルマになってくれ」と言います。私には、私がエリザベートのような女性について知っているすべてを用いてエリザベートになるように言います。ところが、若干25歳の私は、「エリザベートのような女性」のことはあまり知らないわけです。エリザベートの役は、もっと年齢を重ねていないといけなかった。エリザベートは舞台俳優としての長いキャリアがあり、ある日突然「もう声を出したくないわ、全部嘘なのだから」と言うわけです。そのことについてベルイマン監督は私にいろいろ説明してくれたわけではありません。正直なところ、私はあの映画をあまりよく理解していなかったと思います。10年も20年も経って、私自身がエリザベートと同じような境遇に立ってから、初めてわかるところがあったのです。そのときの私は、何を言っても嘘ばかり、という気持ちになり、何も言いたくなくなっていたのです。
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